ネット上などで、『ある日突然、何の連絡もなくカードローンの限度額が下げられていた!』といった書き込みを見掛けることがあります。そもそも、カードローンの限度額がいきなり減額されるということはあり得るのでしょうか。
そこで今回は、カードローンの減額について取り上げながら、減額される理由、減額されたあと、元の限度額へ戻すことはできるのかなど、詳しくご紹介していきます。
カードローンの場合、契約をした際に限度額が決まります。この限度額は、利用中に増額や減額の申請をすることが可能です。もしくは、利用状況が良好な顧客に対し、カードローン会社側から増額のお知らせがあるケースも少なくありません。
ここで注目したいのは、カードローンは減額されることもあるということです。ネットなどで様々な方の口コミを見ると、ある日突然減額となったという話を目にすることがあります。
なぜ、カードローンの限度額が減額されてしまったのでしょうか。減額の理由には個人差はあるものの、大きく分けると3つのケースがあります。
1つは、限度額の上限まで利用していないケースです。たとえば、三菱UFJ銀行バンクイックを利用しており、利用限度額が200万円だったとしましょう。しかし、上限いっぱいまで利用することはなく、実際には100万円までしか借りていなかったとします。
この状態が継続していると、いずれ三菱UFJ銀行バンクイック側で、限度額を突然100万円まで下げてしまうことがあるのです。理由は、利息収入にあります。
三菱UFJ銀行バンクイックの公式WEBサイトを確認すると、以下のような形で借入利率が紹介されています。
利用限度額 | 借入利率 |
---|---|
400万円超 500万円以下 |
年1.8%から年6.1% |
300万円超 400万円以下 |
年6.1%から年7.6% |
200万円超 300万円以下 |
年7.6%から年10.6% |
100万円超 200万円以下 |
年10.6%から年13.6% |
10万円以上 100万円以下 |
年13.6%から年14.6% |
2017年1月現在:三菱UFJ銀行カードローンバンクイックHP参照
変動金利制となっているため、借入金額によって金利は異なるのですが、借入上限金額が200万円の場合は年10.6% ~年13.6%、借入上限金額が100万円の場合は年13.6% ~年14.6%の金利がかかります。
ということは、今回のケースの場合、年10.6%~年13.6%の金利で100万円を借り入れていることになるのです。上限借入金額が100万円であれば金利は年13.6% ~年14.6%ですので、三菱UFJ銀行バンクイックは損をしていることになります。
つまるところ『限度額を強制的に下げて利益につなげる』ために、限度額を下げてしまうのです。
それからもう1つは、増額を申請した際に、借入状況の悪化がバレてしまったケースです。増額の可否は、必ずカードローン会社が決めています。改めて審査を行い、問題が無ければ増額できるのです。
今回のケースでは自ら増額を申請していますが、もしも他社からの借入金額が増えていたり、借入件数が増えている場合は、増額どころかそのまま減額されてしまいます。最悪、新たな借入が出来なくなることも珍しくありません。
最後の1つは、契約時と利用状況が変わっていたことがバレてしまったケースです。契約時の申告状況と変更があった場合、必ずカードローン会社へ報告しなければならないルールがあります。
たとえば、転職、収入の減少、引超し、結婚による氏名の変更などがそうです。中でも、収入の減少を報告しなかった場合は、限度額が下げられる傾向にあります。
この項では、カードローンの限度額が引き下げとなる5つの理由について、詳しく解説していくことにしましょう。以下にまとめましたので、参考にしてください。
延滞が続いている場合は、必然的に限度額が下げられます。1度くらいであれば下げられることはほぼありませんが、毎月支払いに遅れていたり、立てつづけに遅れるようなことが継続していると、ある日突然、何の連絡もなく下げられてしまうのです。
カードローンは、個人の信用を基に融資を行っている金融サービスですので、返済日に遅れるということは、信用を失うことにつながります。よって、カードローン会社としては、『約束が守られないことが続いている』ことを理由に、カードローンの限度額を下げるのです。
借入と返済を繰り返していると、カードローン会社側としては利息収入が常に発生することになります。一見、カードローン会社側にメリットがあるように感じてしまいますが、決してそうではありません。
いつまで経っても完済できないことが明白ですので、『いずれ貸し倒れとなるかもしれない』という考えから、限度額を下げてしまうことがあるのです。
消費者金融系や信販系のカードローン、クレジットカードのキャッシング枠は、貸金業法の総量規制を遵守しなければなりません。
そのため、カードローン利用中にクレジットカードを作り、キャッシング枠を利用していたり、新たな借入が増えていたりすると、年収の1/3を超えるか、もしくは今後超える可能性があるとして限度額を下げることがあります。
他社からの借入をして借入件数が増えたり、借入金額が増えたりした場合、限度額が下げられることがあります。
理由としては、総量規制の抵触、もしくは抵触の恐れがあることや、年収に対する返済利率が高すぎることが関係しているのです。返済利率で判断をしているのは銀行系カードローンのみですが、3割から4割以上となっている場合は、すぐさま限度額は下げられます。
たとえば、別のカードローン会社から借入をしたり、新しくクレジットカードを作った場合は、その記録が個人信用情報機関へ一定期間保存されます。
融資系のサービスに申込みをする際、必ず年収を申告しますが、その情報もすべて個人信用情報機関へ登録されるのです。以前契約したカードローン申込み時よりも、著しく年収が下がっている場合は、突然限度額が下げられることがあります。
以前のような返済能力はないと判断されるケースが多いことや、総量規制、返済利率が関係してくるからです。
なぜ年収が下がったことがカードローン会社にバレるのかというと、貸金業法のルールに沿って、定期的に個人信用情報をチェックしていることが関係しています。
つまり定期的に個人信用情報を確認して、現在の利用状況や、申込み時に申告していた情報から変わりはないか監視しているということです。上記でご紹介した5つの理由のうち、3、4、5番目の内容は、個人信用情報を確認したことによって判明するケースがほとんどとなっています。
ちなみに、個人信用情報をチェックするタイミングですが、銀行系カードローンの場合は各企業によって様々です。一般的には、3カ月周期でチェックしているケースが目立ちます。
一方、消費者金融系や信販系のカードローンは、総量規制で定められているタイミングのとおり信用情報を確認しています。主な内容は以下の通りです。
総量規制によって上記の通り厳しく確認を行う理由は、年収の1/3を超えないようにするためです。以下の表をご覧ください。こちらの図は、日本貸金業協会が発表した『平成28年度:過去利用における総量規制該当の有無』の調査結果です。
日本貸金業協会 平成28年度版
資金需要者等の借入れに対する意識や行動に関する調査結果報告より引用
調査対象人数は26,608名とのことですが、総量規制に抵触した経験がある方は、ご覧のとおり全体の35.2%に上りました。また、現在も抵触中であると回答した方は、19%となっています。
極端な話、約3人に1人は総量規制に抵触した経験があり、尚且つ約5人に1人は現在も総量規制に抵触している最中なのです。
このような現状があるからこそ、多重債務者抑制のためにも定期的に個人信用情報をチェックして、限度額を下げるなどの対策を講じているのだといえます。
カードローンの限度額が下がってしまった場合、すぐに元へ戻すことはできるのでしょうか。結論から言いますと、元へ戻すことは非常に困難を極めます。絶対に元の借入上限へ戻すことができないわけではありません。しかし、そう簡単に戻すことはできないのです。
先述したとおり、カードローン会社は個人の信用を基にお金を融資しています。減額されたということは、その信用を失ったということです。失った信用を取り戻すためには、どうしても時間は掛ってしまいます。ようするに、人間関係と同じことなのです。
どうしても改めて増額したいのであれば、最低6カ月間は期間を空けるようにしましょう。その上で、他社からの借入がある場合は、完済を目指して支払いを続けるのです。
当然、他社を含めた支払いの遅れは厳禁となります。また、アルバイトや派遣社員として働いていた方は、正社員になることを検討したり、収入を増加させる方法を検討するのも一つです。
属性がより良好な状態となれば、その分、次回の増額審査に通過しやすくなります。ちなみに、絶対やってはならないのは、減額されたからといって他社へ申込みをすることです。
借入件数が増えたり、借入総額が増えてしまうと、元の借入上限金額へ戻すことは絶望的となります。
ようするに、減額された場合は慌てて他のカードローンを利用したりせずに、以前よりも属性や信用情報を良好にするよう努めた方が得策だということです。
それでは最後に、カードローンの減額を回避するためのポイントについてご紹介していきます。大きく分けると5つありますので、参考にしてください。
利用していない融資サービスは解約をしましょう。具体的には以下の通りとなります。
基本的には、以上の3点です。消費者金融系や信販系のカードローンを利用する場合、総量規制の関係上、借入額が1/3を超えないように調整する必要があります。
利用していない融資枠も総量規制の対象となりますので、利用していない融資枠や融資サービスは邪魔になってしまうのです。
新たなローンを組むことができなかったり、返済に遅れていないにもかかわらず減額されたのであれば、一度、自らの利用状況を確認してください。
分割払いやリボ払いは、返済する際の負担を軽減することができるため、大変便利な支払い方法です。しかし、1箇所あたりの返済は少額でも、複数件重なるとかなりの返済額となります。
そのため、支払い先の件数が多いと、カードローン会社側で『月々の支払い額が高額であるため、返済能力に掛ける』と判断して減額されてしまうのです。以上のことから、分割払いやリボ払いは必要に応じて利用することをお勧めします。
具体的には、次の2つのことがいえます。1つは、借入総額を年収の1/3以内に抑えること。もう1つは、年収に対する返済利率を低くすることです。ちなみに、借りているお金が1/3以内に収まっていれば良いわけではなく、借入上限金額も含めて年収の1/3と考えてください。
たとえば年収150万円の方が、消費者金融系カードローン2社から上限25万円の枠で10万円ずつお金を借りていたとしましょう。今回のケースの場合、最大借入額は50万円までとなります。
上限50万円の枠の中で10万円ずつ借りているということは、まだ30万円分の枠が空いているということです。しかし、『上限50万円の枠』がある時点で、それ以上の借入はできません。新たな借入をしてしまうと、総量規制に抵触することが関係しています。
また、銀行系カードローンの場合、年収に対する返済利率が30%から40%以下に収まるように借入上限額を調整しているものです。たとえば、年収100万円だった場合、年間の総支払い額が30万円から40万円を超えないように調整しているということになります。
このバランスが崩れると、貸し倒れのリスクが高いとして減額されてしまうのです。以上のことから、減額を回避するためには、自らの借入額と年収のバランスを意識することが重要だといえます。
返済が遅れてしまったり、遅延した状態が続いてしまうと、否応なく減額の対象となります。厳しいカードローン会社の場合、1度でも返済に遅れると減額の対象となるものです。
また、すぐに減額されなかったとしても、定期的に利用状況をチェックされて、遅延が続くようであれば減額されてしまいます。当然、増額を望むことは困難となりますので、必ず返済期日を厳守するようにしましょう。
カードローン会社では、必ず『最低返済額』が設けられています。簡単にいうと『毎月、最低限返済しなければならない金額』のことです。
最低返済額の中には必ず利息が含まれているため、月々最低返済額だけ返済を続けていても遅延したことにはなりません。ただし元金がなかなか減少しないため、いつまで経っても完済できないのです。
先述していますが、借入と返済を短いスパンで繰り返してしまうと、減額の対象となってしまいます。このような事態を避けるためにも、可能な限り月々の返済額を高めに設定して、完済を目指すようにしましょう。