退職した事実をカードローン会社へ申告した方がよいのか、それとも放置しておいても問題ないものなのか、正しい対処方法が分からないという方は多いようです。
冷静に考えると、退職した事実を報告した方がよさそうですが、突然一括請求されたり、全く借入ができなくなったりすると大変困ります。
そこで今回は、カードローン利用中に退職した場合の対処法について取り上げながら、退職後に継続利用はできるのか、継続利用する際の注意点など詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
カードローンを利用している最中に、リストラ・定年で退職した場合、すぐに利用できなってしまうのでしょうか。
残債がある方は、『一括返済しなければならないのか?』、『新たな借入はできないのか?』と不安を感じてしまうものです。
この項では、リストラ・定年で退職した場合の、対処法・利用可否について解説していきます。以下にまとめましたので、参考にしてください。
まずリストラで突然退職することになった場合、継続的にカードローンを利用することはできるのかという点ですが、『継続的に利用できる可能性が高い』といえます。
なぜ今まで通り利用できるのかというと、自ら申告するか、定期的に行われている契約更新などが無い限り、退職していることに気づかれないからです。
カードローン会社では膨大な数の顧客情報を管理しているため、こまめに個人の情報をチェックしている暇がないというのが現状だといえます。
ただし、バレづらいからといって放置しておくと、契約違反として否応なく契約解除となってしまうものです。また、退職後にしばらく利用できたとしても、だいたい3年周期で所得証明書を提出する必要があります。
その時に、職がかわっていることがバレてしまうのです。ここまでをまとめると、『リストラされてすぐに利用できなる可能性は低いものの、必ず退職した旨をカードローン会社へ申告する必要がある』ということになります。
ちなみに、退職した旨をカードローン会社へ申告したあとですが、各社によって対応は異なるものの、未収入の人にお金を貸すようなことはしていません。そのため、新たな収入源を得るまでの間、借入不可となることを覚悟しておきましょう。
すぐに再就職することが決まっている場合は、今まで通り借入できるケースもあります。その点はしっかりと相談をした上で判断してください。
なお、再就職先は決まっていないものの、すぐに再就職先を探すつもりということであれば、ひとまずカードローン会社へ報告しないのも1つの方法です。そして、急いで仕事を決めてから転職した旨を伝えるようにします。
グレーなやり方ですので表だってお勧めできる方法ではありませんが、1つの対処方法として抑えておいてください。
定年退職した場合ですが、基本的な内容はリストラにて退職した場合と同様です。定年退職した際は、カードローン会社へ報告しなければなりません。
ただし、このあとの対処法に関しては、再就職する予定がある方と、年金生活となる方では話が異なってきます。まず再就職する予定がある方の場合、以下の4つの対処法があります。
おすすめは、再就職先が決まっているかどうかは関係なく、ひとまず定年退職する旨をカードローン会社へ報告することです。定年退職をすると、多くの人は安定した収入が途絶えてしまいます。
再就職の難易度は高くなりますし、数年すれば年金生活が始まるケースも珍しくありません。また、消費者金融系や信販系のカードローンの場合、総量規制により『収入が無い方に対して融資を行ってはならない』といった決まりがあります。
そのため、再就職する気持ちがあったとしても、なかなか再就職できない場合は、収入が途絶えたとして新たな借入をすることはできないのです。
一方、年金生活となる方はどうすれば良いのでしょうか。こればかりは、カードローン会社ごとの判断による為、なんとも言えません。何も申告しなければ、一定期間は今まで通り利用できますが、いずれバレてしまうものです。
そのときに、報告の義務を怠ったとして契約解除となれば、一括返済を求められることがあります。退職の報告さえしておけば、新たな融資は不可となったとしても、一括返済を求められることはありません。
また、消費者金融系や信販系のカードローン会社は、収入源が年金のみの方に融資を行っていないものです。そのため、年金以外の収入が必要となってきます。もしも再就職の予定がないのであれば、その時点で新たな借入は不可となるのです。
今後もカードローンを利用したいのであれば、退職前に銀行系カードローンへ申込みをしておきましょう。年金生活者でも融資を行っている銀行系カードローンは多数存在します。
ただし、65歳から70歳前後までを対象としているため、利用条件を必ず確認してください。
【参考】年金受給者でもカードローンでお金を借りることができるの?
カードローンの場合、退職した旨を報告せずに利用している方は多いようです。前項でも触れたとおり、退職をした時点で本来はカードローン会社へ申告しなければならないルールとなっています。
なぜなら、カードローン会社と交わした契約書の中に明記されているからです。文言に関しては、各カードローン会社によって異なりますが、たとえば消費者金融系カードローンアコムの『AC会員規約』では、以下通り案内されていました。
◆第11条(届出時効の変更)
1.会員は、当社に届出ている氏名、住所、電話番号、携帯電話番号、勤務先、勤務地または決済口座等に変更があった場合は、すみやかに当社に所定の届出書または当社が適当と認める方法により届出るものとします。2.会員が前項の氏名、住所または勤務先等の変更の届出を怠った場合、当社からの通知または送付書類等が延着し、または不送達となっても、当社が通常到達すべきときに到達したとみなすことに異議ないものとします。
ただし、変更の届出を行わなかったことについて、やむを得ない事情があるときは、この限りではないものとします。
◆第13条(期限の利益の喪失)
1.会員が次のいずれかに該当する場合には、当社からの通知、催告がなくても当然に当社に対する債務について期限の利益を失い、残債務全額をただちに支払うものとします。(1)住所、勤務先変更の届出を怠るなど、会員の責めに帰すべき事由によって当社に会員の所在が不明となったとき。
引用元:AC会員規約
以上のことからも、『退職時は必ず報告しなければならないこと』、『報告を行った場合は一括返済しなければならないこと』が分かります。
新たな借入ができないことや、強制解約といった文言はありませんので、引き続き利用することはできそうです。
ただし、一時的に借入不可となったり、限度額を下げられたりする可能性は十分考えられます。アコムだけに限らず、他のカードローン会社でも内容はほぼ同じであり、退職の報告を義務としているものの、自己申告となっていることがほとんどです。
退職した事実を報告しなければ、しばらくは今まで通り利用できるケースが大半ですが、余計なトラブルを引き起こしたくない方は、正直に申告することをお勧めします。
基本的に、退職した事実を伝えたからといって即解約とはなりません。滞納を繰り返すなど、余程のことがない限り強制解約とはならないのです。
また先述していますが、再就職先が決まっているときは、敢えて退職を申告せず、転職した事実のみ伝えるのも1つの方法だといえます。
【参考】転職してまもない場合、カードローンの審査は不利になる?
結論から先にいいますと、退職した後にカードローンを継続利用できるかどうかは、ケースバイケースだといえます。代表的なケースを3つ挙げましたので、参考にしてください。
退職後に未収入となる場合、正直にその旨をカードローン会社へ伝えると、新たな借入は出来なくなるケースが大半です。
ただし、条件付きで借入が可能となることはあります。たとえば、万が一、返済が遅れた場合、家族や配偶者が返済を肩代わりするといった内容など様々です。あくまでも少額借入限定となりますが、どうしても借入したい場合は相談してみましょう。
なお、何度もお伝えしているように、退職した旨を報告しなかった場合、次回の定期審査が行われるまでの間、もしくは収入証明書の提出が求められるまでの間は、引き続き利用できるケースがほとんどです。
すぐに再就職することが決まっている場合は、退職した事実を伝えるのではなく、再就職した事実のみを伝えるようにしましょう。返済が滞っていない限り、今までどおりカードローンを利用することができます。
ただし、極端に収入が下がった場合は、限度額が変更される可能性があるため、直接相談をしておきましょう。
カードローン会社によりますが、利用条件の1つが『継続的に安定した収入があること』となっている場合、正直に退職した事実を申告すると、新たな借入が出来なくなる可能性はあります。
ただし再就職先が決まれば、また今までどおり利用できることがほとんどです。よほど収入が低くならない限りは、同じ限度額で利用することが可能だといえます。
退職を申告せず、早急に再就職先を決めるつもりであれば、敢えて報告せずに今までどおり利用するといったやり方も1つです。
ただし本来は契約違反となりますので、自己責任の下、自らの判断で報告するかしないかを決めてください。
結論から言いますと、退職後にカードローンの新規申込をすることはできないと考えておいた方が無難です。理由は、消費者金融系・信販系と銀行系で内容が異なります。以下にまとめましたので、こちらを参考にしてください。
消費者金融系や信販系の場合、貸金業法で定められている総量規制を遵守しています。この総量規制の中で、『年収の1/3を超える借入はできない』といった条件が設けているのです。
ようするに、未収入の人にはお金を貸していないことが分かります。もう少々詳しくいうと、たとえば消費者金融系のプロミス、信販系のセディナフォーライフでは、公式WEBサイトで以下のように案内をしていました。
カードローン | 利用条件 |
---|---|
プロミス(消費者金融系) |
年齢20~69歳の安定した収入のある方 |
セディナフォーライフ(信販系) |
20歳以上64歳以下で、電話連絡可能な一定の収入がある方 (パート・アルバイトを含む。ただし、学生は不可) |
ご覧のとおり、『安定した収入がある方』とはっきり案内しています。他社の利用条件も、おおよそ同じ内容です。
新たな収入が無い限り、退職後に消費者金融系や信販系カードローンへ新規申込をすることはできません。
銀行系のカードローンの場合でも、『安定した収入があること』を利用条件の1つとしているケースが大半です。
三菱UFJ銀行バンクイックの利用条件では、以下のように案内されていました。
原則安定した収入がある方
やはり安定した収入が必要であることが分かります。
念のため、楽天銀行、オリックス銀行、イオン銀行のカードローンの利用条件も確認してみました。
カードローン | 利用条件 |
---|---|
楽天銀行 | 勤めている方で毎月安定した定期収入がある |
オリックス銀行 | 原則毎月安定した収入がある方 |
イオン銀行 | 本人または配偶者に安定かつ継続した収入の見込める方 |
ご覧のとおり、銀行系カードローンでも、安定した収入が必要とであるといえそうです。以上のことから、退職後に新規でカードローンへ申込みをすることはできないといえます。
なお、カードローンへ申込みをした際、必ず在籍確認が必要です。ただし、SMBCモビットのように、WEB完結で申込みをすると、電話連絡をなしにして貰うことが可能なケースはあります。
【関連】カードローンの審査で勤務先に在籍確認の電話はかかってくる?
しかし、勤め先確認書類として『健康保険証』、『給与明細書』の写しを提出しなければなりません。
うまく誤魔化して、退職後にカードローンへ新規申込みをしようと思っても、そう簡単にはできないようになっているのです。
退職してから新規申し込みが出来ないのであれば、退職する前にカードローンへ申込むことはできるのでしょうか。実は退職前であれば、申込みをすることが可能です。
申込む際に、『近々退職する』といった話を伝える必要はありません。いうまでもなく、安定した収入がすぐに見込めないとなれば、返済能力に問題があるとして審査で落としてしまうからです。
なお、退職前に申込むことは可能であるとはいえ、借入残高や借入件数が多い場合、クレジットカードの所有枚数が多い場合、滞納などの事故情報が個人信用情報機関へ登録されている場合などは、審査で落とされてしまいます。
そのため、確実にカードローンの審査に通すためにも、まずは自らの属性や個人信用情報を冷静に確認することから始めましょう。属性はすぐにどうにかできるものではありませんが、個人信用情報は自分で取り寄せて内容を確認することができます。
個人信用情報機関は、『JICC』、『CIC』、『全国銀行個人信用情報センター』の3箇所となりますので、信用情報の確認方法は、それぞれの公式WEBサイトから確認してください。
ちなみに、退職する前にカードローンへ申込むことができる理由は、ただ単純に『退職前とはいえ現状では勤めているから』、『退職前の状態で審査を受けた方が、審査で有利となるケースが多いから』といった点にあります。
更にいうと、退職前にカードローンへ申込みをしておいた方が、在籍確認の際に気まずい思いをしなくて済むといったメリットもあるのです。
すぐに再就職をしてカードローンへ申込みをすると、再就職先に在籍確認の連絡が入ります。事前に会社の方へ伝えておく必要があるため、働いてすぐだと気まずい思いをするものです。
先述したSMBCモビットのWEB完結であれば、電話を連絡をなしにすることはできますが、勤め先確認のために『直近1ヶ月分の給与明細書』、『社会保険証』の写しを提出する必要があります。
収入を証明する書類のところで、給与明細2ヶ月分を提出していれば、勤め先確認の書類は社会保険証のみとなりますが、いずれにしろ再就職してすぐにこれらの書類を用意することは困難です。
以上のことから、退職後にカードローンへ申込みをするのではなく、退職前にカードローンへ申込むようにしましょう。
これまでカードローン利用中に退職した場合どうなるのかといった点や、退職した事実を申告した方がよいのかといった点など、退職前後のカードローンの利用について詳しく解説してきました。
最後の項では、退職後にカードローンを利用する場合の3つの注意点について解説していくことにします。以下にポイントをまとめましたので、参考にしてください。
退職後もすぐに収入を確保することができるのであれば、そこまで心配する必要はありません。しかし、定年退職やリストラ、病気による退職など、収入が下がってしまったり、未収入の状態が継続する場合は、カードローンの利用を見直しましょう。
借入額はもちろんのこと、毎月の返済額も重要です。最低返済金額さえ支払っていれば、滞納扱いになることはありませんが、元金が減少しづらくなるため、いつまでも返済が終わらないといった事態を引き起こしてしまいます。
カードローン会社では、多重債務防止・返済能力の確認・契約内容の見直し・借入状況の確認などのために、定期的に個人信用情報をチェックしています。
そのため、再就職をしてその事実を報告するか、退職した事実を伝えておかないと、規約違反として利用停止となることがあるのです。当然、新たな借入は不可能となります。
多くのケースを確認した限りでは、退職後もしばらくカードローンを利用することはできるようです。しかし、いつどのようなタイミングで利用停止となるかは、カードローン会社の判断によります。
再就職を予定していても、いつ再就職できるか分からない場合は、いらぬトラブルを防止するためにも、その事実を早めに申告するようにしましょう。
退職後に働くつもりだったとしても、なかなか仕事が決まらない場合はカードローンに頼ってしまうことがあります。限度額が高いほど、沢山のお金を借りることができるため、いつの間にか高額な借入をしてしまい、のちの返済で苦しむことがあるのです。
そのため、退職する前に限度額を低めに設定し、限度額一杯まで借入した場合でも、比較的短期間で返済できるようにしておきましょう。また、最低返済金額を事前に確認しておくことも重要なポイントです。
一時的に未収入となったり、収入が下がってしまう場合、その期間のみひとまず最低返済額を支払っておけば滞納したことにはなりません。
ただし、定年退職や退職後に年金生活となる方は、カードローン会社の利用条件や規約にあるとおり、利用中のカードローンが使えなくなるケースがあります。
もしもカードローンを継続的に利用したいのであれば、年金収入のみでも利用できるカードローンを契約しておき、利用中のカードローンは完済、解約しておきましょう。