銀行カードローンの返済を数ヶ月滞納すると、保証会社による「代位弁済」が行われるケースがあります。
代位弁済が実行されると、保証会社から代位弁済通知書が郵送で送られてきます。内容は一括返済を求めるものです。
そのような最悪な状況に陥らないためにも、代位弁済が実行された時に、保証会社がどのような対応をするのかを事前に把握しておくことは大切です。
そこで、このページでは、「そもそも代位弁済とはなんなのか?」「代位弁済はどのような流れて行われるのか?」「代位弁済が行われた場合のリスク」「代位弁済の対処法」などについて詳しく解説していきます。
代位弁済(だいいべんさい)とは、銀行カードローンを利用している方が、病気や失業などで返済をくり返し遅延したり、長期にわたって延滞した場合、保証会社が利用者に代わって銀行に借金を返済することです。
銀行カードローンを利用する場合、保証会社を必ずつける決まりになっています。保証会社は保証人のような立場にあるため、返済が滞った際は、返済を立て替えてくれるのです。
これだけ聞くと、借金自体がなくなったように思われるかもしれませんが、当然そんなことはありません。
借金の最終的な返済義務はあくまで債務者(カードローン利用者)にあるため、代位弁済後は、保証会社から遅延損害金も含めて一括返済を請求をされることになります。
上記の図でもわかるとおり、保証会社が一時的に借金を返済(代位弁済)していますが、その後、カードローン利用者に一括返済の請求をしています。
このように、代位弁済は返済先が保証会社に代わるだけで、借金そのものがチャラになる事ではないということがご理解頂けたかと思います。
消費者金融系・銀行系問わず、カードローンを申し込む際、担保や保証人は不要となっています。これは、カードローン利用者にとってはメリットになりますが、お金を貸す側(銀行)にとってはリスクになります。
もし、何らかの理由でカードローン利用者が返済できなくなってしまったら、貸主(銀行)は大きな損害を被ることになってしまいます。そのため、保証会社が間に入り、カードローン利用者が返済できなくなった場合に、保証会社は債務者の借金を肩代わりします。
つまり、貸主のリスクを下げるために、保証会社の存在が必要なのです。
銀行カードローンを利用する場合、保証会社の保証を受けなければなりません。保証を受けるためには、申込み時に保証会社の審査を通過する必要があります。一般的には、消費者金融系の企業が保証会社となっていますが、中には信販系の保証会社も若干含まれています。
代表的な保証会社としては、『三菱UFJ銀行カードローンバンクイックはアコム』、『三井住友銀行カードローンはSMBCコンシューマーファイナンス』、『みずほ銀行カードローンはオリエントコーポレーション』となっています。
下記に、大手銀行カードローンの保証会社を一覧にまとめました。
銀行 | カードローンの商品名 | 保証会社 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | バンクイック |
アコム |
三井住友銀行 | 三井住友銀行カードローン |
SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス) |
みずほ銀行 | みずほ銀行カードローン |
オリエントコーポレーション |
オリックス銀行 | オリックス銀行カードローン |
オリックス・クレジット株式会社または新生フィナンシャル株式会社 |
楽天銀行 | 楽天銀行カードローン |
楽天KC/セディナ |
住信SBIネット銀行 | 住信SBIネット銀行カードローン |
SMBCコンシューマーファイナンス 株式会社 |
じぶん銀行 | じぶんローン |
アコム |
イオン銀行 | イオン銀行カードローン |
イオンクレジットサービス |
りそな銀行 | りそなプレミアムローン |
オリックスクレジット |
通常、代位弁済は何の前触れもなく、いきなり行われることはありません。
代位弁済が実行される前に、ローン会社からの「督促状」や、「期限の利益の喪失予告通知」などいくつかの通知が届きます。
金融業者によっても違ってきますが、返済が一ヶ月遅れたぐらいでは実行されることはありません。
ここからは、代位弁済が行われる際の流れを見ていきたいと思います。
まずは、全体の流れをご説明すると以下のようになります。
代位弁済の流れ | 延滞日数 |
---|---|
(1)契約時に入力した電話番号に催促の電話がかかってくる |
1~3日 |
(2)自宅に督促のはがき・封書が届く |
1~3ヶ月 |
(3)期限の利益の喪失予告通知が届く |
3~6ヶ月 |
(4)期限の利益の喪失通知が届く |
3~6ヶ月 |
(5)代位弁済通知が届く |
3~6ヶ月 |
銀行カードローンの返済が遅れると、契約時に入力した電話番号に担当者から催促の電話がかかってきます。
催促の電話というと、怒鳴られたり脅されたりする怖いイメージがあるかもしれませんが、実際はそんなことはないので、安心してください。
この時かかってくる電話の内容は、「入金が確認できていないこと」「早めに入金してほしいということ」「いつまでに入金できるのかということ」を聞かれます。
このとき、きちんと返済する日を伝えて、そのとおりに支払いをすれば、代位弁済は行われません。
催促の電話やメール・ショートメッセージによる連絡を無視したり、電話に出ても約束通り支払いをしなかったりすると、自宅宛に郵便で督促状が届きます。督促状は、ハガキか封筒で配達されるのが一般的です。
督促状には、「重要」や「ご通知」と明記されているため、初めて受け取った方はビックリするかもしれません。しかし、督促状は、支払い・返済催促のための手紙のようなものなので、そこまで不安になる必要はありません。
督促状には、入金の確認ができていないことと、未払いの借入残高と利息、遅延損害金の金額が書かれており、早期に入金してくださいといった内容が記載されています。
督促状が届いても、記載された元本と利息、遅延損害金の全額を入金すれば、それ以上に問題が大きくなることはありません。
ローン滞納から3~6ヶ月ほど経過すると、期限の利益の喪失予告通知が届きます。これ以上返済が滞ると、分割払いでは無く、全額一括返済していただくことになりますという警告文です。
期限の利益の喪失
カードローンでお金を借りた際、契約で決められた期日に、決められた金額を返済すればよいので「返済日が来るまでは借金の返済をしなくてもよい」という消費者の利益が「期限の利益」です。つまり、銀行や貸金業者は、返済期日の前に、一括返済を求めてはいけないということになります。
期限の利益のおかげで、突然一括返済を求められることはないため、カードローン利用者は安心して分割返済を行うことができます。
しかし、カードローンの延滞が続けば契約違反となり、カードローン利用者はこの「期限の利益」を失うことにより、残りの借入金を一括して返済しなければなりません。これが「期限利益の喪失」になります。
この「期限の利益の喪失予告」には、指定された期日までに延滞金と利息をまとめて支払うように書いてあります。もし、支払わない・支払えない場合には、「期限の利益の喪失通知」が送られてきます。
期限の利益の喪失予告通知によって指定された期日までに延滞金および利息をまとめて支払わなければ、ローン会社から期限の利益の喪失通知が届きます。
期限の利益の喪失通知には、「定められた期日までに残っている借金を現金で一括返済してください」と書かれています。期限の利益を喪失すると、債権者(銀行)は、債務者(カードローン利用者)に残債務の一括弁済を求めることになります。
しかし、毎月の返済ができないのに一括での残債務支払いなどできるケースはほとんどありません。そのため保証会社がローンの立て替え払い(代位弁済)をしてくれます。
期限の利益の喪失の通知が送られてきた後、保証会社から「代位弁済通知書」という書類が届きます。
銀行カードローン利用者が期限の利益を喪失すると、融資した銀行は保証会社に貸付残金の一括弁済を求めます。保証会社は銀行カードローン利用者に代わり、貸付残金と延滞利息を一括して銀行に返済します。これが代位弁済です。
代位弁済が行われると、今度は保証会社から銀行カードローン利用者に対する請求が始まります。保証会社は、債務の一括返済、つまり残りの借金を全額返してくださいという要求をしてきます。
その際、銀行カードローン利用者には保証会社から、代位弁済が行われたむねを伝える「代位弁済通知」が送られてきます。
代位弁済が行われると、当然ながら、デメリットが発生します。メリットは一つとしてありません。「一括返済を請求される」、「遅延損害金が発生する」、「保証人への督促」、「財産の差し押さえ」「個人信用情報機関への事故登録」といった大きなリスクが伴います。
ここでは、これらのリスクについて詳しく解説したいと思います。代位弁済のデメリットを正しく理解して、返済の延滞や滞納には十分注意しましょう。
すでにお伝えしましたが、代位弁済が行われ、債権が保証会社に移った段階で、借主は「期限の利益」を失っています。
そのため、保証会社に肩代わりしてもらった借金全額を一括払いで請求されます。
保証会社からの一括請求に応じることができなかった場合、裁判所を通じて財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
返済が1日でも遅延すると、返済日に遅れた日数分だけ"迷惑料"が発生します。この迷惑料が「遅延損害金」です。代位弁済後も借金の催促を無視して滞納すれば、遅延損害金も日々膨らんでいきます。
カードローンの遅延損害金利率は、銀行も消費者金融も大体一律20%に統一されています。
名称 | 遅延損害金の利率 |
---|---|
アコム | 20.0% |
プロミス | 20.0%(実質年率) |
SMBCモビット | 20.0% |
三菱UFJ銀行カードローン | 借入利率と同じ利率 |
住信SBIネット銀行カードローン | 20.0% |
レイク | 20.0% |
オリックス銀行カードローン | 借入残高に対して借入利率 + 2.1% |
楽天銀行スーパーローン | 19.9% |
オリックスVIPローンカード | 19.9% |
代位弁済は債務者だけの問題ではありません。契約書類に保証人を記載している場合、保証会社から保証人へ督促が行われます。
特に連帯保証人は保証人より責任が重いため、代位弁済が行われた時点で保証人と話し合わなければ、大きな迷惑をかけることになってしまいます。
代位弁済が行われ、保証会社から債務の一括請求に応じることができなかった場合、保証会社は、財産の差し押さえ手続きをとります。
差し押さえは、支払いを滞納している人に裁判所が強制的に支払いを行わせる措置のことで、預貯金や債権、家・土地などの不動産をお金に変えて強制的に返済に当てられてしまいます。
給料も差し押さえられる可能性があります。ただし、給料を差し押さえる場合は、上限が決まっていて、「手取りの4分の1までしか差し押さえできない」と法律で決められています。
たとえば、給与が毎月20万円ある人なら5万円が差し押さえされます。5万円では足りない場合は、翌月以降の給料も対象です。
手取りが33万円を超えていたら、「33万円を超えている部分」と「手取りの4分の1」を比べ、いずれか多いほうを差し押さえられます。
たとえば、給料の手取りが60万円の場合、
「33万円を超えている部分」⇒ 27万円
「手取りの4分の1」⇒ 15万円
「33万円を超えている部分」が27万円と多いので、27万円が差し押さえとなります。
代位弁済が行われてしまうと、事故情報や延滞情報として個人信用情報に登録されます。この情報が、「ブラック情報」、「ブラックリスト」と呼ばれています。
ブラックリストに登録されてしまうと、カードローンやクレジットカードを新規で発行できなくなり、「住宅ローン」や「自動車ローン」など他のローンも一定期間(5年~10年)利用できなくなります。
このように、事故情報は、永久に記録されているわけではなく、一定期間が経過すると抹消されます。日本国内にある個人信用情報機関は3箇所(CIC、JICC、全国銀行個人情報センター)あり、金融事故情報の登録期間は、以下の表の通りとなっています。
個人信用情報機関 | 登録機関 |
---|---|
全国銀行 個人情報センター |
最長5年 |
JICC | 最長5年 |
CIC | なし |
「代位弁済通知」が届いたけど、返済することが難しい場合は、どのように対応すればよいのでしょうか?
以下では、有効な対応方法について説明したいと思います。
代位弁済が行われた段階で、借主は「期限の利益」を失っています。そのため、保証会社に肩代わりしてもらった借金全額を一括払いで請求されます。
もし、保証会社が指定した期日までに一括返済しなければ、財産を差し押さえられてしまうかもしれません。
そのような最悪な事態を回避するためにも、可能であれば親族からお金を借りて一括返済するのも一つの方法になります。
保証会社に対して、ご自身で分割に戻してもらう交渉をしてみるという手段もあります。その際、返済する意思があることを伝えた上で、交渉するの好ましいです。
だだし、代位弁済を行われたということは、これまで何度も延滞をしていたわけですから、保証会社からの信用も失っています。
そのため、交渉に応じでもらう可能性は低いと言わざる負えません。
保証会社が、分割払いの交渉に応じてくれない場合は、法律の専門家である弁護士・司法書士に「債務整理」を依頼することで、借金が減額もしく免除され、支払い期限も延長してもらうことができます。
債務整理とは、借金の減額や支払い期間に猶予を持たせたりすることにより、法的に借金問題を解決する手段のことです。
債務整理の手続には、「任意整理」「個人再生」「特定調停」「自己破産」の4つがあります。
債務整理は、種類により必要な手続きや今後の支払内容等が大きく異なりますので、どの方法が良いかは、債務者の現状を考慮して決めて行きます。 依頼先は、債務整理の全てに精通した弁護士、司法書士に相談し代理手続きを委任するようにしましょう
ここでは、代位弁済に関するよくある疑問についてまとめてみました。
代位弁済を行うと、家族や身内にに知られてしまうのでは?と心配される方がいますが、代位弁済を起こした事実は、黙っていれば誰かにばれるような事はありません。
ただし、保証会社からの一括請求に応じることができず、給料の差し押さえを受けしまうと裁判所から勤務先の会社に連絡が入ります。このため、少なくとも勤務先には確実に借金の存在がバレてしまいます。
代位弁済の通知を無視すると、保証会社は裁判所に申し立てを行い、法的な手続きを開始します。
そのため、裁判所より請求に関する通知が届きます。さらに、この通知まで無視ししてしまうと、最終手段である給与差押えなどの強制執行が行われます。
そのため、代位弁済の通知が届いたら無視せず、はやい段階で対応することが大切です。
銀行カードローンの返済ができなくなり、債務整理を行うと預金口座が凍結される可能性があります。
口座の凍結とは、その銀行口座から出金をできなくする手続きのことで、銀行の判断で行われます。銀行ATMでキャッシュカードを挿入しても、「この口座はお取り扱いできません。」などと表示されます。
預金口座が凍結されてしまった場合、預金残高が残っているとカードローン残高と相殺されて強制的に引き落されてしまいます。その際、通帳には「代位弁済に伴う相殺」と記帳されます。
保証会社が代位弁済を行い、保証会社が債務者の借金を肩代わりすると、銀行は借金を返してもらったことになるので、口座の凍結は解除されます。口座の凍結は、一般的に保証会社が代位弁済を行うまでの1か月~2か月の間になります。